二極思考のニューノーマル議論に囚われないビジネスの実行プロセスとは?|アフターレポート(講演動画・資料公開)

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2020年11月16日(月)に、株式会社マーケティングサイエンスラボ 代表 本間充氏をお招きして、「二極思考のニューノーマル議論に囚われないビジネスの実行プロセスとは?」と題したウェビナーを開催しました!

このウェビナーでは、コロナ時代における組織・経営のあり方について、「ニューノーマル実現の正攻法」をテーマにした対談をお届けしました。

2021年に考えを深めていきたい、これからの働き方を実現するための組織・経営について、どのようなポイントを抑えていけばよいのでしょうか?

■講演動画(完全版)・資料をご希望の方は、以下のURLよりダウンロード頂けます。
https://ci.clara.jp/download/webinar-1116/


「WFH+WFO時代の会社の組織・経営とは」


登壇者のご紹介

株式会社マーケティングサイエンスラボ 代表取締役

兼務先
EVOC データマーケティング:取締役
アビームコンサルティング:顧問
アウトブレイン・ジャパン:顧問
事業構想大学院大学:客員教授
ビジネスブレークスルー大学:客員講師

本間 充氏

1992年大手消費財メーカーに入社。以後、Webエンジニア、デジタル・マーケティング、マーケティングを経験。2015年に、アビームコンサルティング株式会社に入社。多くの企業のマーケティングのデジタル化を支援している。他にも、ビジネスブレークスルー大学でのマーケティングの講師、東京大学大学院数理科学研究科 客員教授(数学)、文部科学省数学イノベーション委員なども勤め、産業・科学の両発展に貢献している。


WFH(Work From Home)はよく聞きますが、WFO(Work From Office)はみなさん聞き慣れないワードではないでしょうか?

最近アメリカの雑誌では、WFHとWFOは場所だけの違いではなく、働く質、従業員・マネジメントの意識が異なることが指摘されています。

コロナウイルスの影響は様々な所に現れていますが、その一つとしてこれから私たちの働き方、組織のあり方はどうしていくことが最も幸せなのかを考える良い機会となっているのではないでしょうか。

1. コロナで進化する、会社の組織・経営

コロナウイルスによる変化

2020年2月頃に日本のメディアでも取り上げられるようになり、流行し出してから、4月5月に緊急事態宣言、その後地域によって様々な対策が講じられています。

ビデオ会議、テレワークなどの普及の兆しが見られたのが、2020年3月・4月あたりですが、ちょうどこの時期は多くの企業の会計期末で慌ただしく、対応に追われた方も多いと思います。日本は他国と比較しても安定的に電波が使える国で、これまで個人にフォーカスしてITの普及はさせていますが、法人としてはまだまだ導入率が低く、会社に行かないとITインフラが使用できない仕組みの企業が多いです。

「日本企業ではDX、イノベーション、ITの導入が進んでいなかったのかも」、と感じたのは緊急事態宣言が明けた6月頃でした。

グローバル企業ですと、給与明細はすべてデジタルなので、世界中どこにいても給与明細を引き出すことができ、アメリカの場合は税申告がインターネットで完結できます。

しかし、日本ではまだまだ会社に行かないと給与明細が取り出せない、外部から取り出そうとする人が集中してVPNが重くなり落ちてしまった、などといった状況が見られました。

コロナ禍で、急成長する在宅勤務

2020年以前、テレワークが話題になっていたのは2011年。東日本大震災の影響で東京は計画停電が行われたため、一時的に関西からテレワークを行う動きがありました。

総務省は定点的にテレワークに関するアンケート調査を行っていますが、2018年ではテレワークという言葉を聞いたことがない人は約30%もいました。当時、WFHは浸透していませんでした。

この8ヵ月で私たちはWFHを何かを理解し始めました。

[新型コロナウイルス感染症の影響下における 生活意識・行動の変化に関する調査
https://www5.cao.go.jp/keizai2/manzoku/pdf/shiryo2.pdf]

 

2. WFHとWFOの組み合わせ

海外、特にアメリカの例を見てみると、私が調べた範囲ではGoogleがテレワークを導入し始めた時、最初は営業からテレワークを開始させました。

FacebookもTwitterも、Googleと同様にエンジニアは出社で、自社のサーバやネットワークの近くで仕事を行っていました。

バージョンアップ管理を行うことが業務として発生するため、エンジニアのテレワーク環境を整備するためには3ヵ月ほどかかったとされています。

Adobeのサンフランシスコ本社はもともとコロナ前から全室個室となっており、個人の生産性を高めることにフォーカスしていました。会議は電話会議で問題なく行えているといいます。

WFHは今に始まったわけではありません。1950年以前から、リモートで働くことを考えていた企業があります。

アメリカは国土が広いため、国内でも時差が4~6時間あります。社長でもなければ毎週出張で往復するわけにも行きませんから、電話会議が主流でした。

今後のWFH・WFOの組み合わせ

コロナウイルスの影響はあれど、私たち日本人は、明治時代以前はWFH・WFOのハイブリッドで働いていました。

その後、時が流れ、150年ほどは働く=オフィスに行くという概念が浸透しました。

そしてまた、コロナウイルスの影響によりWFH・WFOの混在時代に移ってきています。

WFOとWFHのそれぞれの「良さ」を活用する

WFOの良さとは、出社・退社の時点でメリハリがつく、名前を知らない人に相談ができることです。

WFHは、会議室を準備しなくて良いことです。

3. 事業・業務の最適設計

日本では新規事業を創る際に、理系の人たちが参加しない事が多いので、事業のフローチャートを書くことができない人が多いのです。

IT・システム側の皆さんの強みは、このフローチャートを書けることにあります。

フローチャートに書くことができれば、事業だけではなく業務を整理することができ、WFHに合う・求められるプロセスを構築出来るでしょう。

コロナだからWFHではなく、生産性をあげるためだからこそWFHといえるようにしていきましょう。

 

「ニューノーマル実現の正攻法」


登壇者のご紹介

クララ株式会社
取締役/クラウドソリューション事業部長大向 学

2001年、独立系SIerに入社。SI事業からシステム運用事業部門の立ち上げとその事業責任者を務める。2010年に当社入社。プロフェッショナルサービス部門長、2012年からグローバルソリューション事業部長を務め、2015年4月執行役員、2020年3月より当社取締役に就任。


ニューノーマルというワードを見かけるようになりましたが、皆さんニューノーマルという言葉を説明できますでしょうか?

クララから、2020年4月の緊急事態宣言前から取り組んでいる新型コロナウイルス禍への対応事例について紹介いたします。

テレワーク中も社員から様々な意見をもらいました。

 

新制度のポイント

2020年7月から、クララでは「WSI(Work Style Innovation)制度」がスタートしています。新制度のポイントは3点。

①出社とテレワークを社員が選択可
WFHとWFOのどちらが良いかを会社が決めるのではなく、個人で選択することができます。

②WSI手当:月35,000円を支給
通勤手当、住宅手当、インターネット環境を整備したり、一人ひとり自由に使うことができます。

③業務の都合や状況に応じて出社指示も可
顧客に合わせて対応を行うべきこともあるため、その場合は出社指示を行えるようにしています。

新制度のロジック

これから仕事場として自宅を選ぶので、プライベートの要素が入ってきてしまうことを許容する考え方です。

対談


司会)
今回のウェビナーのタイトルは「二極思考のニューノーマル議論に囚われないビジネスの実行プロセスとは?」です。ニューノーマルを実現していくためには何が必要かという議論を行うと『組織変革』の一言で片付けられてしまうことが多いように思います。

組織変革自体を行っている企業は沢山ありますが、1年や2年で成果が得られる、変わったと社員が実感できるものではありません。

なぜ上手くいかないかという問いでは、担当者の意識が問題とフォーカスされがちですが、異なる視点を持つと見えてくるのは、「プロセスの最適化」だと思われます。

いかがでしょうか?

 

本間氏)
コロナ対応のためにプロセスを変更していたが、これからやる事業・産業を考えていかなくてはいけないフェーズだと思います。これからの事業・産業のために、一番良い方法を選択するということが正しいです。

戦術と戦略で、どんな戦いで勝ちたいのか。

例えば、野球で勝ちたいのか、バスケットボールで勝ちたいのかを決める。もしバスケットボールで勝ちたいのならチームプレーを重視するために、チームを補強する。

野球で勝ちたいのであれば、個々人のタレント性を重視して良い人材を確保することが求められます。

 

大向)
コロナウイルスの影響は先が見えないために、どうしなくちゃいけないのかが判断しづらい部分だったと思います。その中でおすすめしたいプロセスは「一度やってみる」事です。

試していく中で、合う合わないを見極めていく必要があります。

 

司会)
では、まだまだ一度やってみるまでいくことがなかなか出来ない企業はどうしていったらいいのでしょうか?
アドバイスをお願いします。

 

大向)
やってみると意外とできる、ということですね。ただ、やっていくにしても、2021年以降はある程度先を見据えなくてはいけないフェーズに入ってくるはずなので、そのタイミングでは目的を持って組み立てをしていくと良いと思います。

 

司会)
となると組み立てができる戦略・戦術を考えることができる人材の確保も必要になってくるのでしょうか?

 

大向)
人材の確保は重要になると思います。

 

司会)
そのような人材は、マーケティング業界で不足していると言われていますが、上手く人材を育てる仕組みが出来ている企業はあるのでしょうか?

 

本間氏)
コロナウイルスというのが大きいカンフル剤になりすぎていて、コロナの前に戻ることが目標になっている人も多いと思います。

経営者・幹部の皆さんはコロナの前に戻ってくれないと困るという方も多いのですが、コロナの先の元には戻らない世界を設計できる人がいないのではないでしょうか?

売り上げが減少している企業もある中、売り上げが伸びている業界もあるので、その辺りを分析して、自分たちの事業にどのように活かすか、という想像力が求められます。

マーケッターでいうなら本を読まずにもっと想像してほしいですし、プログラマーの皆さんには野心的になっていいと思います。

広い話をした方がコロナが落ち着いてきた以降に目標を立てやすくなります。

一番あってはならないのは、コロナ前に戻ったときに目標がなくなることです。

 

大向)
コロナのタイミングは何かを始めるにはとてもチャンスだと捉えています。

 

本間氏)
少しでも多くのことを誰よりも試行錯誤した人が最もゴールにたどり着くのが早いということです。怖がらず進んで、間違えたら戻ってくればいいので、好奇心旺盛に少しやんちゃに遊んでみることが大事です。

 

司会)
海外だと現場でのリーンスタートアップが主流ですが、日本は決裁権を現場ではなく経営層・幹部が持っている事が多いので、やるか・やらないかという二極思考に陥りがちだと思います。

クララとしてWSIをはじめるときに、全社員一斉ではなく、一部の部署からスタートするなどのテストはなかったのでしょうか?

 

大向)
新しい制度を導入を導入していこうとする姿勢はありました。コロナ前は平等な制度であった方が良いという綺麗な制度が求められていたように思います。

コロナによってこのものさしが壊されたので、新しいものを組み立てることができたので、良かったと感じています。

 

司会)
では、テレワーク時の社員の評価のされ方、マネジメントの評価の仕方はいかがでしょうか?

 

大向)
このフェーズでは、暗闇の中をいかに試行錯誤したか、が重要だと考えています。

アウトプットしたかどうかではなくて、行動量を見ています。

 

本間氏)
私も近い考え方です。

WFOの時は報連相が重要でしたが、WFHになってからは相談回数が減っていますよね。

WFO時代は、相談してくる人はマネジメントからすると伸びそうな部下とされてきました。

スポーツでは毎年ルール(小さい部分)が変わることがあり、それらを楽しめるかという素質がスポーツ選手に求められています。

評価される側の人たちは、これからどのようにルールが変わり、積み重ねた結果として1年、数年後にどのようなキャリアを描くことが求められているかを考えなくてはいけません。

 

司会)
少し話が変わりますが、個人の目線で行くと、コロナ前はセルフマネジメントができ、アイディアが湧き出てきて、アウトプットを行うことができる人材は、評価されてこなかったと思います。しかし、テレワークになりアウトプット優先という枠で捉えるなら、これらの人の評価は上げていかないといけません。

こういった人たちは世の中にそう多くはないので、人材確保という観点から難しいとかんがえるため、企業内で育てることが重要になるのではないでしょうか?

 

本間氏)
コロナと人生100年時代が同時に来てしまったことにより、ワーカーとして働く時間が増えることになる。22歳で社会人デビューして60歳で定年を迎えるとなると38年で済みます。しかし80歳まで働くとなると、さらに58年働くことになります。何歳時点でどのような暮らしをしていたいかから逆算して、働き方も選択していく必要があります。

人には向き不向きがあり、テレワークも合う人合わない人がいます。2021年以降はテレワークが合わない人もも一回チャレンジしてみようとする気持ちがある方が良いと思います。

自分自身が選択する人生の中で、一つのキャリア形成の一つにテレワークがあると捉えるとポジティブになることができます。

長期目線で考えてみると答えが出ると思います。

 

大向)
評価という軸で話をするなら、テレワーク中心の会社で評価されるのか、出社中心の会社で評価される人材になっていくか、という事だと思います。

これまで出社前提が当たり前だったので考える必要なはなかったが、テレワークに必要な資質は異なるので、セルフマネジメントができる、オンラインでの適切なコミュニケーションをとることができるなど、そういったことが新しい要素として必要。

一人ひとりがキャリア形成で必要なものはなにかを、今一度考える時が来たのだと思います。

 


以上がレポートとなります。

当ウェビナーの講演動画、資料は下記よりダウンロードいただけます。
ぜひご覧ください。

https://ci.clara.jp/download/webinar-1116/

 

また、クララでは、WSI制度に関連して、ゼロトラストベースのセキュアなテレワーク環境を実現するクラウド活用ソリューションの提供を開始しています。

その名も、「Clara WSI Solution」です。
このサービスはクララがテレワークを開始して得たことのナレッジが多数含まれております。

ぜひこちらのサービスページもご覧ください。
https://ci.clara.jp/solution//wsi/

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