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2020/11/10

“崖“に近づく中堅・中小企業を救う!【DX化への第一歩】ゼロトラストなリモートワーク支援ソリューションとは

2020年11月10日にマイナビニュース「企業IT チャンネル」(https://news.mynavi.jp/kikaku/20201110-1448711/)に掲載された記事を転載しています。

サーバホスティングの老舗であり、インターネットサービス基盤事業に加えて中国ならびにアジアに向けビジネスコンサルティング事業も展開するクララ。 コロナ禍がいつ終息するのかまだ先行きが不透明な中、同社は2020年10月に生産性の高い働き方の実現をサポートする新サービス「Clara WSI Solution」の提供を開始した。

どのような背景のもと、どういったニーズに応え、何を目指したサービスなのか。1回目となる今回は、同社ビジネスストラテジー部で事業企画をはじめ多彩な業務を担当する小松 恭兵氏にご登場いただき、サービスのコンセプトやターゲット、そして最終的に目指す将来展望について話を伺った。

IT活用を通じて“ボーダー”を突き破る

クララは日本におけるインターネット黎明期の1997年、合資会社として設立され、ホスティングサービスの提供を始めた老舗企業である。 2020年で24年目を迎えた同社は「次の時代を道づくる」という企業理念のもと、国境・既成概念の2つを指し示す“ボーダー(境界)”をITを通じて打ち破ることで、社会課題解決への貢献を目指している。

その同社がいま取り組んでいる大きな課題が、顧客企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)のはじめとなるリモートワークの普及だ。 経済産業省が提起した“2025年の崖”を乗り越えるには、DXの促進が必須テーマとなる。しかしながら日本企業の多くはレガシーなシステムを使い続け、業務のデジタル化に立ち遅れているのが現状で、2025年はもうすぐ目先に迫っているにもかかわらず、まだ本格的なDX化に舵を切れている事例はまだまだ少ない。

そうした状況の中、クララは今回の新型コロナウイルスの影響により、社員の安全を確保しながら業務を進めるために、通常のオフィス出社で業務を行うことから、急きょリモートワークに切り替えた。 リモートワークは、そもそも働き方改革の要請に応える一つの手段であり、コロナ禍終息後にやってくるであろうニューノーマル時代においてスタンダードになると目されている。

ただ、課題はあると小松氏は話し始める。

「いろいろな企業から話を聞きますが、現状ではリモートワークの導入自体が目的となっている企業が多い印象です。 4月に発令された緊急事態宣言により、一時的な緊急対応の手段として、ひとまず社外で働くことができればOK、という視点でリモートワークを捉える会社が多いと感じております。また、従業員数が少なくなればなるほど、リモートワークの導入率が低いというデータもあり、ここにはさらに大きな課題があると考えていました」

その場しのぎで導入したため、リモートワークに特化した要素を追求せず、オフィスでの働き方をそのまま自宅環境に移植しただけ。 アクセスも従来の回線やVPNの仕組みで間に合わせようとしたために、帯域圧迫などによりストレスのないリモートワークユーザー体験を実現できず、社員は生産性もモチベーションも上がっていない。 また、セキュリティ対策も十分ではなく、実際にサイバー攻撃による被害が増えている。そのほか、リモートワークを前提としたコミュニケーション、申請・決裁の業務フロー、労務管理、評価制度といった課題も顕在化している……さらに中堅・中小企業では、政府からの要請にも関わらず、導入自体ができなかった現状から、そもそも働き方を含むDXの取り組みが遅れている。 大手企業がオフィスに囚われない新しい働き方を大々的に発表したこともあり、こうした流れに追従できないと、特に人材面で経営にも大きなインパクトをもたらすことが予想される。と小松氏は考えている。

小松 恭兵
クララ株式会社 ビジネスストラテジー部 小松 恭兵氏

デジタルによる変革こそがニューノーマル時代のキー

では、企業はリモートワークをどう考え、どういった意識で導入すればいいのか。小松氏はこう指摘する。

「重要なのがDXを意識し、ニューノーマル時代に向けて、しかるべき働き方とそれに伴う評価・制度、仕組みとシステムを考えることです。 これまでも日本企業の働き方には課題があり、リモートワーク導入も含め、変えていかなければという声は上がっていましたが、現実はなかなか進みませんでした。 そこにコロナ禍がやってきて、あまりに急激にリモートワークへ移行せざるを得なかったため、DXの観点を持たず“とりあえず”の意識でスタートする企業が続出したわけです。 結果、6月以降は緊急事態宣言発令前と変わらない出勤スタイルが戻ってきました。 当社としてはコロナ以前から、DXという大きな観点でお客様企業のIT利活用をサポートするソリューションを提案してきました。 そうした中、コロナにより強制的な在宅経験から、働き方やその仕組みを変える企業が増えてきたため、単なるリモート接続にとどまらない、クラウド活用をもって生産性の向上を実現するための、セキュアなワークスタイルソリューションを今回打ち出しました。 『Clara WSI Solution』は、ニューノーマルに向けた新しい働き方とIT利活用によるビジネス促進の課題に対し、DXの観点から解決を図っていく企業の取り組みを支援するもので、“WSI”はWork Style Innovationを意味しています。 これまでのサーバ系ビジネスと組み合わせることで、企業のDX促進をトータルでサポートします」

「Clara WSI Solution」の細かな特徴や機能概要については次回に譲るが、まずはDXの最優先事項として「安全なアクセスを可能とするインフラ」「効率的な業務遂行に必要なアプリケーション」「社内外との円滑なコミュニケーションを実現するツール」の3点に着目。 そのうえで、DX実現に欠かせないクラウドサービスの活用とどこからでも働くことを前提とし、セキュリティとパフォーマンスの両立を目指したソリューションとなっている。そのポイントは、従来のような境界の中(社内ネットワーク)は安全であるという考え方ではなく、ネットワーク・デバイス・人を信用せず繰り返し検証し判断する「ゼロトラスト」の概念だ。

「これまでの社内システムは、オフィスとオンプレミスのデータセンター間の通信を中心に、社内外を物理的に分け、外部からの脅威は境界で防御しながらアプリケーションのアクセス性アップを目指すものでした。 しかし現在はSaaSをはじめとするクラウドサービスが多用される状況となり、モバイル端末を通じた社外からのアクセスも当たり前になったことで、従来の境界の考え方ではセキュリティ面、パフォーマンス面で大きな弊害が出ています。 どのような環境からでも、インターネット上にあるデータへのアクセス性を第一に考え、ソフトウエアベースで認証やセキュリティ対策をします。また、脅威についても外部からの侵入だけでなく内部から起き得ることも想定しております。いわゆる、ゼロトラストの考え方をベースとしソリューションを組み立てました」

ゼロトラストなITインフラの形

独自の付加価値をつけたサービスでDX化へ手厚いフォロー体制

本ソリューションは、クラウドベースのリモートアクセス、ゲートウェイセキュリティ、エンドポイントセキュリティ、IDマネジメントの4つの機能を柱としている。 これらの機能を実現する多彩なツールをパッケージ化し、同社がサポートなどを付け加えたうえで提供する。

同社が本ソリューションの主要ターゲットと考えているのは、従業員100〜1000人規模の中堅・中小クラスの企業だ。「この規模の企業はクラウドの市場から取り残されており、クラウド活用によるDXが難しい状況にあります」と小松氏はいう。

「現在のクラウド、とくにSaaSはサービスが大手企業向けの仕様/体制であり、100〜1000人規模の会社には使いにくいものとなっています。 IT活用やデジタル化についてはひとり情シスや本業以外の人的リソースでなんとか回し、システムは固定されたSIerに依存する状況にあるミッドクラスの会社は、そのSIerがSaaSに対応できるとは限らず、旧態依然の提案を受けるというケースが多々見受けられます。 また、グローバルベンダーの打ち出す料金体系も『1,000ライセンス以上からディスカウント』というように、この規模の企業はメリットを享受できません。 そこで、この層に対してニーズの多い機能を含むサービスをパッケージ化し、当社が技術的な付加価値やサポートをつけ、使いやすい形でクラウドサービスを提供するソリューションには大きなニーズがあると考え、今回のリリースにつながったわけです」

リモートワーク、働き方改革、セキュリティという現在注目の3つの領域を最新テクノロジーで支援しながら、もちろんツールを“入れて終わり”ではなくチューニングから実際の運用まで手厚くサポートし、充実したフォロー体制によってDXの推進を支える。

「Clara WSI Solution」が具体的なプロジェクトとして立ち上がったのは、コロナ発生後の2020年5月のこと。 そこから数カ月でサービス設計と自社での検証・試験導入などを実施し、2020年10月にスタート。 同社では同年7月に、コロナ禍終息後とニューノーマル時代を見据えて就業時間・形態(リモートワーク/オフィス出社)を柔軟に選べる「ワークスタイルイノベーション制度」を導入開始。そこで得られたノウハウに関しても本ソリューションに詰め込んでいる。老舗ならではの技術力と信頼性に、スピード感がうまくマッチした形だ。

最後に小松氏は、次のように語った。 「お客様がデジタル化の流れに乗り遅れず、ITを活用して無事DXを成し遂げ、その成果としてビジネスをうまく回し、業務効率を上げ、独自の企業価値を創出していただきたい……その実現こそが当社の願いであり、このソリューションが最終的に目指すところです。当社としてはさらにその先に、得られたデータを経営の意思決定に活用するなど、ソリューション展開の未来像も描いています。 100~1,000名規模のお客様で、今後働き方改革ならびにDXに取り組まれる意思をお持ちの企業様はお気軽にご相談ください。『Clara WSI Solution』がデジタル化導入の第一歩となり、企業の成長に繋がれば幸いです」

小松恭兵

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