2015年の中国EC市場研究報告(抜粋・参考訳)

目次

1. 中国の EC 市場規模

模国家統計局のまとめによると、2015 年の EC 取引総額は前年同期比 33.3%増の 3.88兆元に達した。これは社会消費品小売総額(約 30 兆元)の 12.9%にあたる。

また商務部のデータによると、BtoC 取引額は同 53.7%増の 2.02 兆元に上る。インターネットを通じた実物商品の取引総額は 3.2424 兆元(社会消費品小売総額の 10.8%)で、非実物商品の取引総額は同 42.4%増の 6,349 億元だった。

2015 年末時点の EC 利用者数は 4.13 億人に上り、前年末に比べ 14.3%増となる 5,183万人の増加となった。インターネット利用者全体に占める割合は 60.0%に達した。一方モバイル EC の利用者は同 43.9%増の 3.4 億人で、モバイルインターネット利用者全体に占める割合は 54.8%と初めて過半数を超えた。

EC 利用者数のうち、SNS を使った SNS ショッピングの利用者数は 1.45 億人で、前年末に比べ 19.1%増となる 2,330 万人の増加となった。EC 利用者全体に占める割合は35.2%で、なかでも微信(WeChat)の「微商(WeChat Business)」が展開する口コミ販売モデルが広く人気を集めている。

また越境 EC の利用者数は 4,091 万人で、前年末に比べ 135.8%増となる 2,356 万人の増加となった。EC 利用者全体に占める割合も 4.8%から 9.9%へと増えている。

2. 購入回数と人気商品

2015 年の EC 取引総数は延べ 256 億回で、1 人あたりにすると平均購入回数は 62 回となる。近年は EC におけるユーザー体験が改善しており、さらにモバイル EC の利用拡大も購入回数の増加に拍車をかけている。

男女別の年間平均購入回数は、男性が 32 回、女性が 30 回で、年間購入金額も男性が10,025 元、女性が 8,559 元となっており、男性が女性を 1.2 倍上回っている。これは、男性がパソコンやデジタル製品といった単価の高い商品に加え、携帯電話のチャージカードやゲーム課金用コインといった商品を繰り返し購入することが多いためだ。一方の女性は化粧品、美容関連商品、食品、ヘルスケアグッズといった単価が比較的安い商品が中心で、女性向けの高価な商品はプレゼントとして男性が購入しているという点も見逃せない。

EC で購入する商品の上位には、アパレル製品、日用品、パソコン・デジタル製品および部品が毎年ランクインしている。さらに消費者の買い物に対する概念の変化によって家電製品の購入が増えたり、読書習慣の定着で電子書籍が人気になったりしている。

しかしモバイル EC に限ってみると、日用品の購入が最も多く、食品・保健品も上位にランクインしている。モバイル EC では手早く見つけられ、今すぐに欲しい商品を購入する傾向が強いようだ。

EC で贅沢品を購入したことがある割合は全体の 6.8%で、バッグや腕時計が多い。

2015 年の SNS ショッピングの平均購入額と回数は、1 人あたり年間 2,134 元で、7.2回となっている。前年より回数は 1 回しか増えていないが金額は倍近く膨らんでいる。

では、日常の消費支出に占める EC の割合はどのくらいだろうか。2015 年には 11%以上とする回答がいずれも増えており、最も伸び率が高かったのは 31-50%で 5.5 ポイント増、続いて 11-20%が 4.8 ポイント増となっている。

3. EC を利用する際に重視すること

EC 市場の成長に伴い、良好なユーザー体験の提供と定期的なセールは EC 利用者にとって約束されたものとなっているが、EC 利用者は何を基準に店舗や商品を選択しているのだろうか。

EC 利用者が最も重視すると回答したのは、インターネット上での口コミが 77.5%、価格が 72.2%、サイトや店舗の信用が 68.7%となっている。また購入時に品質と価格のバランスを考慮する人は全体の 70.8%で、価格より品質を重視する人は 24.6%、逆に品質より価格の安さを重視する人は 4.7%だった。

4. 越境 EC の利用状況

越境 EC で購入する商品は、化粧品および美容関連商品が 53.4%に上り、粉ミルク・ベビー用品が 47.6%、アパレル製品・バッグが 37.8%と続く。

購入する商品の原産国は、米国が 48.0%で最も多く、日本が 45.3%、韓国が 37.8%と続く。オーストラリアとドイツはそれぞれ 18.6%と 16.6%だが、その他の国は 10%以下の割合となっている。

越境 EC の平均購入額と回数は、2014 年が 1 人あたり年間 4,948 元で 8.0 回だったが、2015 年は年間 5,630 元で 8.6 回となっている。前年に比べ回数は 0.6 回増え、金額も 682 元増えて、前年比 13.8%増となっている。

また越境 EC を利用する理由として最も多いのは、商品の品質が保証されているからで 79.4%、次に国内に偽物が多すぎるからが 78.0%となっており、価格が安いから、種類が豊富だからはそれぞれ 63.9%と 53.7%となっている。海外にしか売っていないからも 44.6%あった。

越境 EC 利用者が遭遇したトラブルで最も多いのは、配送時間が長すぎることで全体の 67.7%が経験していた。代理購入にまつわるものでは、品質に問題があるが 21.5%、検品できないが 9.2%だった。このほか、返品交換ができないが 16.9%、運送中に破損したり紛失したりしたが 8.5%、届いたときには賞味期限が切れていたが 1.5%あった。

「2015 年中国網絡購物市場研究報告」(中国語・全文)http://cnnic.com.cn/hlwfzyj/hlwxzbg/dzswbg/201606/P020160622616579052961.pdf

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