BJnetworks蔡さんインタビュー(2) 中国における接触確認アプリとその役割


前回に引き続き、クララオンラインのビジネスパートナーでもあるBJnetworks(http://www.bjnetworks.cn/)の蔡(サイ)さんへのインタビューです。

クララオンラインでは、中国にある会社(BJnetworks)とも密にコミュニケーションを取りながら業務を行っています。北京でも6月に入ってからは出社人数の制限が解除され、出社ができるようになったことから、Zoom MTG(北京とも普通につながる…!)でBJnetworksの蔡さんに中国(北京)における接触確認アプリについてのお話を伺いました。

北京版 接触確認アプリ「北京健康宝」

インタビュアー(以下 イ):

日本では徐々に自粛ムードが緩和していきていると感じますが、ジムや飲食店などの特定の施設では、入館時に検温や記名をして入館する事を求められるという場面を見かけます。北京ではその辺りいかがでしょうか?

蔡さん(以下 蔡):

北京でも検温等は行われていますが、それに加えてあらゆる施設で入館時に「北京健康宝」というアプリの提示を求められます。

【名称】北京健康宝
【機能】渡航歴の照会、個人情報照会など
【登録内容】顔写真・名前・身分証

このアプリは、機能としてはシンプルで、14日以内に北京以外の場所に渡航した履歴があるか否かを証明するためのアプリです。

中国では各地域ごとに同様のアプリがリリースされていて、施設への出入りや平時における渡航歴のチェックなどあらゆる場面で利用されています。

イ:

日本でも先月6月30日に、厚生労働省から「新型コロナウィルス接触確認アプリ」がリリースされたばかりですが、

  • 利用は任意
  • 全国共通
  • 個人が特定される情報は保存しない
  • 1メートル以内、15分以上感染者と接触した場合に自動的に記録・アラート

などインストールの自由度や、個人情報保護の観点、そもそもの機能(役割)などが大分違いますね。

新型コロナウイルス接触確認アプリ(COCOA) COVID-19 Contact-Confirming Application|厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/cocoa_00138.html

蔡:

そうですね。

北京では一時、遠方から北京に移動してきた人は14日間は外出禁止(自宅待機)をさせるという措置をとっていたため、外出時には14日間北京にいたことを証明する事が必要でした。(※編集中:5月から記事執筆時までにおいてはその制限は解除されています)

そのため、全ての市民がどこに行っても許可書の提示や記名を行う必要があり、アプリがリリースされるまでは、利用者も管理する側も相当な負担があった、という背景がありました。
アプリに変わってからは渡航歴に問題ない事を証明する+QRコードをスキャンすれば入退館の履歴になるので、施設の利用者・管理者側も負担が減るという事でコロナ禍において必須のアプリとなったようです。

イ:

なるほど。そもそも外出制限において必須だった書面での記名や許可書の提示等を、アプリによって簡素化し、かつ利用者の追跡も楽に行えるようにしたのですね。それなら導入がスムーズに受け入れられたのにも頷けます。

ただ、日本だと個人情報保護等の観点からも、そういったアプリを実装するのは難しいかもしれません。

蔡:

元々は、(中国政府より以下のような項目の管理を要求されていた)AlibabaなどのIT企業が従業員の入退社管理を簡略化するために作成したアプリが一般公開されて、それぞれの都市の管理基準に合わせた仕様のアプリが各都市ごとにリリースされ、国営施設の入館時もアプリの提示を求めるなど、政府公認のアプリとなっていった、という流れのようです。

【政府に要求されていた管理項目】

  • 従業員の出退勤情報
  • 検温記録
  • 渡航歴
  • 出社理由

政府もこのやり方を早くから支援しており、ニュースなどで利用を推奨する内容を放送するなど積極的に啓蒙しています。北京でもアプリの利用が標準化していて、このアプリがないと様々な施設に入館できないので、北京市の住民利用必須のものとなっています。

イ:

なるほど。積極的にアプリの利用を推進しその環境を整え、自動的にデータが溜まるような仕組みを整えて、それによってコロナ感染の危険がある人や移動情報を把握し、社会全体へのコロナの影響を最小化しているのですね。

個人的には、政府の厳しい管理をテクノロジーの力で簡略化しつつその取り組みを推奨・支援し、すぐに市民や施設などの管理者が受け入れるという流れが、非常に中国らしい取り組みだなと思います。

蔡:

そうですね。国や文化による取り組み方の違いはそれぞれあって当然ですし、その方法には一長一短ありますが、中国の取り組みはある意味合理的ともいえますし、私たちも普通に受け入れていますね。

イ:

蔡さん、今回は貴重なお話をありがとうございました!
北京市ではコロナ感染者数が急増していますが、このまま被害が拡大せず収束することをお祈りしています。

蔡:

こちらこそありがとうございました。

<前回記事:BJnetworks蔡さんインタビュー(1) 中国ビジネスに新型コロナウイルスがもたらした変化について


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