Alibaba Cloud DNS を利用して中国からのWEBアクセスを早くしよう-その2

こんにちは。クララオンラインの吉村です。前回に続き Alibaba Cloud DNS の話です。

前回は Alibaba Cloud DNS の概要を説明しましたが、第2回目は具体的なチューニングをしていきたいと思います。

 

ISP回線とワールド回線による名前解決の変更

前回もご紹介したISP回線の項目についてご説明します。

まずは公式のドキュメントを読んでいきましょう。

ISP回線とワールド回線は、前者が中国国内での名前解決、後者が中国国外での名前解決の最適化を意味します。

整理するとこんな感じです。

用途 選択肢 備考
ISP回線 中国国内の名前解決 デフォルト 下記の中国ISP回線の指定がない時はこちらに名前解決
China Telecom 中国電信ユーザ向けの名前解決
China Unicom 中国联通ユーザ向けの名前解決
China Mobile 中国移動ユーザ向けの名前解決
China Edu 教育網(中国教育部運営)の学術ネットワーク向けの名前解決
China Dr.Peng  鵬博士ユーザ向けの名前解決
ワールド回線 中国国外の名前解決 グロバール回線 中国国外で、名前解決

一番大きな分類の仕方

中国国外で、大陸別の名前解決 (有料)

ヨーロッパ、北米、南アフリカ、オセアニア、アフリカ、アジアから選択

中国国外で、国別の名前解決  (有料)

書ききれないので省略しますが、やはりアジアが特に細かく設定できます。

※検索エンジンロボットは省略

グロバール回線は愛嬌ですね!

 

さて、では一番簡単な検証で、中国と中国国外の違いによるDNSの名前解決の変更をしてみましょう。

例として yoshimura.work ドメインにAレコード設定をこのように行いました。

タイプ ホスト 回線(ISP)
A @ デフォルト xxx.xxx.xxx.125
A @ グローバル xxx.xxx.xxx.151

この状態で、中国国内から名前解決をすると xxx.xxx.xxx.125  、中国国外から名前解決をすると xxx.xxx.xxx.151 になれば成功です。

やってみましょう。

BEIJING# dig yoshimura.work a @vip7.alidns.com +short
xxx.xxx.xxx.125

TOKYO# dig yoshimura.work a @vip7.alidns.com +short
xxx.xxx.xxx.151

成功です。

 

次に、中国国内のISPを China Telecom とそれ以外で分けてみましょう。

タイプ ホスト 回線(ISP)
A @ デフォルト xxx.xxx.xxx.125
A @ China Telecom xxx.xxx.xxx.162

この状態で、中国国内から名前解決で、中国電信は xxx.xxx.xxx.162 、それ以外は xxx.xxx.xxx.125  になれば成功です。

やってみましょう。

ここではわかりやすく、中国電信の固定回線と中国移動のモバイル回線で挑戦です。

結果は、

中国電信の固定回線は xxx.xxx.xxx.162

中国移動のモバイル回線は xxx.xxx.xxx.125

となり、大成功でした。

面白いですね。


 

中国国内からのレスポンスを上げる

前回の記事では、中国国内からAlibaba Cloud DNS の名前解決の速度が最速6ms ~ 最遅320msまでバラツキがありました。

今回はこの速度を上げたいと思います。

といっても、すでに先ほど Alibaba Cloud DNS で ISP回線の最適化の設定をしており、これ以上コンテンツDNS側ではレスポンスを早くするような設定項目はなさそうです。

そこで、クライアント側のキャッシュDNSサーバを baidu dns に変更してみました。

結果は・・・

北京のサーバから vip7.alidns.com への digコマンドの結果
;; Query time: 337 msec
;; Query time: 199 msec
;; Query time: 251 msec
;; Query time: 35 msec
;; Query time: 35 msec
;; Query time: 37 msec
;; Query time: 347 msec
;; Query time: 193 msec
;; Query time: 241 msec
;; Query time: 39 msec
;; Query time: 35 msec
;; Query time: 5 msec
;; Query time: 73 msec
;; Query time: 75 msec
;; Query time: 74 msec
;; Query time: 34 msec
;; Query time: 77 msec
;; Query time: 34 msec
;; Query time: 259 msec

ほぼ変化なしで、バラツキがありました。

調べてみると応答するコンテンツDNSのネームサーバの場所によってレスポンスが異なるようです。

北京のサーバから vip7.alidns.com への digコマンドの結果
47.88.134.33#53(47.88.134.33) in 72 ms
106.11.41.157#53(106.11.41.157) in 6 ms
106.11.41.157#53(106.11.41.157) in 6 ms
47.89.93.11#53(47.89.93.11) in 259 ms
47.89.132.33#53(47.89.132.33) in 259 ms
47.89.93.11#53(47.89.93.11) in 267 ms
47.89.71.33#53(47.89.71.33) in 319 ms
47.89.93.11#53(47.89.93.11) in 274 ms
47.88.44.157#53(47.88.44.157) in 181 ms
140.205.29.119#53(140.205.29.119) in 34 ms
47.88.134.33#53(47.88.134.33) in 72 ms
47.89.71.33#53(47.89.71.33) in 334 ms
47.89.93.11#53(47.89.93.11) in 356 ms
47.89.71.33#53(47.89.71.33) in 334 ms
140.205.1.13#53(140.205.1.13) in 37 ms
47.89.71.33#53(47.89.71.33) in 242 ms

北京の弊社DC環境からだと 106.11.41.157 や 140.205.1.13 が早くて、47.89.71.33 などのネームサーバはUSにあり遅いみたいです。

Alibaba Cloud DNS のエンタープライズ版だと、世界各地に負荷分散している関係上、レスポンスを返すDNSサーバが遠い場合には遅いですね。が、本来なら Geo DNS により距離的に最適なネームサーバが応答するはずです。

もしかしたら、これは検証環境のDC回線が特別で、一般的な中国環境からだと近いネームサーバのみ応答するのかもしれません。

他の可能性としては、中国国内向けに利用する場合には、エンタープライズ版ではなく中国国内DNSサーバのみ提供される無償版を利用しようということかもしれないですね。

もし何か分かったらまた記事を書きます。

 

今回はISP回線の項目と、中国国内から GeoDNS の応答について書きました。

次回もお楽しみに!

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