中国GFWについて中国国内から考察する(2014年7月)

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5月末ぐらいから、GWFはバージョンアップしたようで、以前のVPNはほとんど使えなくなってしまいました。VPN以外に、Googleも徹底的に中国から追い出され、7月にはLINEもいきなりブロックされました。これでGoogle、Facebook、Twitter、YouTube、LINEが使えなくなったことになります…

そこで、なぜ中国がこんなに厳しく制限して、不便なインターネット環境を作るのか、考えてみました。

中国が海外サービスを規制する理由

一番大きな理由は政府の情報管理ですね。これに関してはご存知の方も多いと思います。インターネットの内容を自動で審査、フィルタリングして、エロや暴力等の内容、加えて政府に不利な内容をブロックし、国内のインターネット環境をコントロールしています。一般のインターネット利用者に対しては、外のものが見れなくても特に日常生活に支障はありませんが、中国にいながら海外の情報を探している技術者としては、やはり不便です。百度で検索しても使える情報は少ない><。。。Google先生がほしい!Gmailも使いたい!Facebookも見たい!…

では、逆に、GFWに何か良いところはあるのでしょうか?

中国独自のSNSサービス

中国のGFWは確かに厳しくて、FacebookやTwitterなど海外の大規模なサービスを使うことは一切制限されています。その代りに、中国独自の「人人網」、「微博」というサービスが流行ってます。通信アプリで言うと、「QQ」と「微信」は中国人ならほぼ誰でも使っているサービスです。もしFacebookやTwitterが使えても、やはり海外の人との情報交換よりは中国にいる周りの友達との交流の方が圧倒的に多いので、中国特有のSNS環境は絶対的に必要だと考えられます。
ちなみに、今までのGFWの壁は確かに高くそびえたっていましたが、技術に詳しい人や、この壁を超えたい人にはなんらからの形で超えられたので、情報は完全封鎖ではないです。

規制されたサービスを改めて考えてみる

Googleの検索エンジンは、各WEBサイトの内容を分析し、データベース化して検索結果を提供してくれます。Gmailは無料で利用できるメールボックス。2GB以上のスペック、チャット、ドキュメントの共有、そしてメール検索の効率もかなり良いです。Googleマップはオンライン地図のサービスで、地理情報が細かく収集されています。ストリートビューでは指定した場所の景色すらも見ることができます。一見、とても素晴らしいサービスのように見えますが、このサービスを利用する代償としてGoogleに情報が漏れていることは否めません。例えば、検索エンジンやGoogleマップではユーザーが検索したキーワードが全て記録され、Gmailでは連絡先やメール内容が保存されています。

Facebook、Twitter、YouTubeも同様、利用者の名前、年齢、履歴、収入、写真、場所、日常行為などが全てデータベースに入っています。このレベルのデータを持つことでより良いサービスを提供することはもちろん、それ以外に、ビジネスで使えるデータとして販売されることも考えられます。だから、中国はGFWを建てて情報管理を行い、ユーザー情報などのデータは中国のIT企業でしか収集できないように制限することで、中国国内でのデータ分析の主導権を守ってます。

まとめ

中国に入れるものと入れないものをリストアップすると、結果は明白。データ収集や分析される可能性があるものはほとんどブロックされていて、一部まだ使えるものに関しても順に規制をかけている状態です。アリババのクラウドサービス「阿里雲」ができ、ようやく中国製のクラウド環境を使えるようになったので、政府のシステムが徐々に阿里雲に移行し、「IOEを除く」(IBM・Oracle・EMC2の商品を使わない)という活動も始まりました。そして、5月20日、中国政府から「中国政府機関はWindows8 OSの購入を禁止する」というニュースが発表され、更にMicrosoft Officeの利用も禁止されました。利用禁止の理由は発表されていませんが、恐らく、『外部のソフトにはバックドアがあって、そこから政府の情報を取られる恐れがある』 こと、そして『今後中国国産のOSを支えたい』  のではないかと噂されています。また、唯一中国で利用できていた国際通信アプリの「LINE」も、例によって最近使えなくなってしまいました。ユーザー数が爆発的に増加し(約4億?)、ようやく政府の目に入ったと考えられますね。

海外とのやり取りをする中で不便を感じることは多々ありますが、急速に成長している中国のIT企業に期待しようと思います!

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